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バーチャルオフィス・シェアオフィスで本店登記すると税金が余計にかかるのか?

Chihaya Iitsuka

会社設立する上で1つハードルになるのが、本店所在地――つまり会社の住所をどこにするかです。

自宅で登記できない、身バレをできるだけ避けたい、信用を考えて見栄えのいい住所を本店にしたい、などの事情で、バーチャルオフィスやシェアオフィスで本店登記する例が増えています。

ただ、実際に仕事をする場所としては、自宅や別の場所を借りるというケースもあるでしょう。

このように会社の拠点が複数になる場合、税金上、損はしないのでしょうか。

余計な税金がかかってしまわないか、考えてみましょう。

バーチャルオフィスは問題なし

まず、バーチャルオフィスですが、こちらは問題ないでしょう。

ここでのバーチャルオフィスとは、物理的なテナントスペースはなく、登記上の住所として登録させてもらえるものを指します。

この場合、いくら本店所在地といっても、そこに従業員がいるわけではなく、何らかの設備があるわけでもなく、もちろんそこで事業が稼働しているわけでもありません。

形式的な住所があるだけです。

そうなると、実質的に事業は行われていないとの判断になり、課税はされません。

このあたり、形式上、本店所在地がそこだから、と杓子定規に決まるわけでなく、あくまで実態として事業をやっているかどうかで判断することになっていて、案外柔軟なルールになっています。

シェアオフィスは…状況次第

一方、シェアオフィスを本店としている場合は、状況によって変わってきます。

そもそも「シェアオフィス」という言葉の意味合いが広いので、何をどこまで使えるのかによってパターン分けが必要になります。

もしバーチャルオフィスと同じように、書類上、住所を本店所在地に使わせてもらえるだけであれば、やはり税金の問題は出てきません。

では、レンタルオフィスやコワーキングスペースの場合はどうでしょうか。

これらも言葉の定義があいまいですが、ここでは、広いオフィススペースを複数人で共同で使うようなサービス形態とします。

自分専用の個室が用意されていればレンタルオフィス、専有部分はなく、共有のデスクのうち空いているところを使用するのならコワーキングスペースと呼んだりしますね。

こういったケースでは、実際に事業を行うスペースがある以上、基本的には、1つの事業所があるとカウントされ、課税がなされます。

とはいえ、継続して事業がそこで行われているか、という判断要素もあり、ここが分かれ目になります。

この点、今回のケースのように、自宅や他の場所でずっと仕事をしていて、こういったシェアオフィスはまったく使ってないよ、こともあるでしょう。

このような場合には、

・事業所としてはカウントしない形で決算申告する
・本店所在地分の税金は払わない
・税務調査などに備えて、「まったく使ってないよ」と主張だけの証拠を集めておく

という戦略が考えられます。

実際に使っていなければ、税金はかかりません。

しかし、契約内容として、レンタルオフィスやコワーキングスペースなどとして事業に使える場所が存在する以上は、「普通はそこでなんかやってるよね」と見られちゃうわけですね。

そういった疑いの目に対して、ちゃんと説明がつけられるようにしておけば、税務調査などでいざ指摘された時にでもきちんと対処できるというわけです。

とくにレンタルオフィスでは、わざわざ自分専用の区画を借りているわけです。

それにもかかわらず使わないのはどうしてなのか、使わないのに契約したのはどうしてなのか、といった疑問に対して、納得できる答えを用意しておきましょう。

それともうひとつ、複数の事業所であっても、道府県や市町村(政令指定都市では区)が同じであれば、税金は増えません。

たとえば、仙台市青葉区内のシェアオフィスで本店登記しつつ、仕事は自宅のある仙台市青葉区で行う、というケースでは、税金は追加ではかかりません。

したがって、メインの仕事場としている自宅などと、本店の場所が同じ自治体内であれば、こういった議論はなく、追加の税金はかからずに済むということになります。

事業所の数だけかかる均等割という税金

最後に、追加でかかる税金とは何なのかについてお話しします。

株式会社や合同会社など、法人には、法人住民税がかかります。

この法人住民税の一種として「均等割」という税金があります。

この均等割が、事業所の数だけかかってくるというわけです。

・法人都道府県民税
・法人市町村税

とそれぞれあって、都道府県レベル、市区町村レベルでそれぞれ課税されます。

金額は、都道府県民税で約20,000円、市町村民税で約50,000円が最小です。
(東京23区はちょっと扱いが違いますが、金額はほぼ同じ)

資本金と従業員数によって金額が上がっていきますが、資本金であれば1,000万円、従業員であれば50人を超えなければよく、一般のスモールビジネスの規模であればここは問題ないでしょう。

したがって、年間70,000円というのがベースです。

これが、事業所の数だけ増えていきます。

整理すると、

・別の都道府県 +70,000円
・同じ都道府県内(別の市区町村) +50,000円
・同じ都道府県内(同じ市区町村) +0円

という感じです。

そこまで大きな金額ではないかもしれませんが、税金が増えるとなると、やはりイヤな感じはしてきますよね。

このコストを許容できるかも、検討材料になってくるでしょう。

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飯塚 千隼(いいつか ちはや)
飯塚 千隼(いいつか ちはや)
税理士
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